悲報? 朗報?
先日、管轄の税務署による税理士業務の実態調査を受けました。
税理士業務の実態調査とは、通常の税務調査とは違って、読んで字のごとく「税理士としての業務の実態を調査する」業務チェックです。
所轄税務署の調査官ではなく総務課の職員の方が調査に来るのですが、20件程度が対象になる、と言っていましたので、だいたい管轄内の5~10%程度、といったところでしょうか。
当事務所の場合、税務署への提出が義務付けられている顧客名簿はきちんと提出していますし、規模も大きくありません。更に税理士登録してからそんなに月日が経っている訳でもありませんが、なぜか選ばれてしまいました。
10年に1回は当たる、とは聞いていたものの、今なの?ってのが正直なところです。
主な内容
予め決まった質問票があり、すべてヒアリングベースで行われました。
・税理士業務処理簿を作成しているかどうか
・決算書類等の保管状況(何年、どのように?)
・顧問先から預かった資料はどのように保管返却しているか
・会計業務を外部委託しているかどうか
・顧客でマネーロンダリング等犯罪収益移転防止法に係る取引があるかどうか
・登録している税理士事務所以外で業務を行っていないかどうか
・33条の2の書面添付をしているか
・顧問先との間に業務委託契約書を作成しているかどうか
・顧問料の集金方法及び入金口座の確認(事務所口座の銀行名を聞かれました)
・税理士会の研修の参加状況
・国税庁のホームページをチェックしているかどうか(リニューアル当初は使い辛かった点は意見一致!)
・e-TAXの利用状況の確認
・パソコンの台数確認
・会計ソフト・税務ソフトは何を利用しているか?
・国税庁への要望や質問(私は今後の電子申告制度(PDFで提出可能な範囲・対応OSなどが今後拡大するのか)について質問しました。)
①税理士業務処理簿
税理士業務処理簿とは、税理士法において、税理士業務に関して業務処理簿を作成し、記録することが義務付けられています。
簡単に言うと、業務日誌のようなもので、誰の申告書・申請書を作成・提出したのか、誰のどんな税務相談を受けたのか、税務調査にはいつどのように対応したかということを記録しておく書類です。
最低限これだけは用意した方がいい、と先輩税理士からアドバイスを貰いました。
税務ソフトによっては連動して自動作成できるようですが、私の場合は暇な時にエクセルで作っていた仕掛品があったので、体裁を整えるだけで済みました。
これは税理士の義務なので、作成していないと場合によっては税理士の懲戒(業務停止)という思い処罰を受けることもあるようなので、事前に作成しておくことが大事ですね。
②2ヵ所事務所問題
税理士は事務所として登録した場所以外で税理士業務を行ってはいけない、という縛りがあります。
ノートパソコンを使ってらっしゃる方が多いでしょうし、スマホやタブレット端末などのデジタル機器の進化によって、どこでも仕事が出来てしまう昨今を鑑みれば、この規制は兼ねてから疑問でした。また当事務所は公認会計士事務所と税理士事務所の2つあることから、雑談レベルではありますが色々と聞いてみました。
ニセ税理士行為や名義貸しを規制する古き税理士法の趣旨は置いといて、究極的には税理士法の趣旨に則った各自の責任において判断していくことになるんだとか。
複数事務所を設置する予定は今のところありませんが、普段は気にしない話だったので考える良い機会でした。
ちなみに気になって、あまり聞いたことが無いニセ公認会計士なるものがあるのか調べてみましたが、一応会計士協会で注意喚起していました。。初耳。
https://jicpa.or.jp/news/information/2012/post_1703.html
③マネーロンダリング
「犯罪収益移転防止法における税理士の責務」という1枚の資料を頂きました。
新規顧客とは、事前に必ず面談をするようにしていますし、その際に本人確認や登記簿謄本等の提示を受けるようにしていたのですが、厳密にはその本人確認等を行ったという記録を作成しないといけないんですよね。
特に指摘として受けた訳ではありませんが、文書として残す、っていうのが何だか監査チックで乗り気になれない自分がいます。。
こんな感じで確認は進み、30分程度で終わりました。
ちなみに、この調査では、お客様の情報が税務署に伝わっているというようなことは一切ございませんのでその点は安心ください。
まとめ
当初は業務が逼迫している最中の連絡だったこともあって、受けること自体面倒でしたが、こうして自分自身の業務を見返す機会はそうそう無かったですし、ちょっとした気付事項もあったので、結果として良い機会になりました。
なのでまた受けても良いかなと思っています。10年後ぐらいなら。