今年から開業した場合の準備期間中の支出の取扱いは?
個人事業主の場合は、事業を開始するまでに特別に支出したものについては、「開業費」として計上することになります。
経常的な性格を有する費用であっても、計上できますし、また、事業を開始する前のものであっても、開業準備のための支出であれば計上できます。
例えば、新規事業のための名刺や印鑑などの購入費や、挨拶や打合せ等に掛かる飲食、手土産代から、HP作成費用、オフィスの契約関連費用等、事業に関連する支出であれば経常的なものであっても計上できます。
また、開業前のものであっても遡って計上することができます。特段、時期の制限は設けられていません。一般的には数ヶ月から半年前ぐらいまでのものであれば妥当な範囲かと思います。
開業費の処理方法
処理の仕方としては下記の方法が考えられます。
①開業費(繰延資産)として計上して5年間で償却
②任意償却
(支出時に全額経費計上することもできますし、まったく償却しないで、例えば開業7年目に一括して経費計上することも可能)
③20万円未満であれば、支出した年度の経費として処理
少額の③のケースを除いては、①の5年間での均等償却か②の任意償却を採用することになります。
どの処理を採用すべきか?
原則は①となっていますが、一般的には②の任意償却かと思います。
これは利益と相談しながら、償却期間や償却額を自由に決めることで有効な節税方法となるからです。
数年後の黒字が出たときの節税アイテムとして取っておく、というスタンスであれば、黒字が出るまで経費としないで繰延資産として計上しておくということもできます。
また青色申告の場合には、その年の赤字を3年間繰り越すことが出来るという特典もありますので、開業した年に一括して経費計上してその年は赤字となった場合でも、翌年以降黒字になる見込であれば、その黒字と相殺することで節税することも出来るわけです。
まとめ
開業費が多額に計上されるケースであればあるほど、影響額も大きくなります。
どのような処理が一番ご自身にとって効果的な節税になるのかを事前にシミュレーションしてみるor税理士に相談してみることをお勧めします。
なお、開業費と似た用語で創立費というものもありますが、こちらは、会社を設立するために支出した諸費用に使う勘定科目となりますので、個人事業主の場合はこの科目は使いませんのでご注意下さい。