所得控除とは?
一言でいえば、税負担を軽くする制度です。
これは、病気したり、面倒をみなくてはならない家族がたくさんいる人への社会政策的配慮であったり、障害を負った人や学費のかかる子供がいる納税者の個人的事情を考慮した制度です。
所得は、売上から経費を差し引いて計算しますが、ここから更に所得控除というものを差し引くことにより、所得がより小さくなることから、結果として税金が安くなります。
所得控除を使うには?
サラリーマンなどの会社員の場合は、年末調整により会社がやってくれるものもありますが(生命保険料控除や配偶者控除等)、必要最低限のものだけです。
所得控除を使うためには、ほとんどは自分で確定申告をして申請しなければ受けられません。
14種類の所得控除
所得控除には、家族を扶養している場合に受けられる扶養控除や、医療費支出による医療費控除など、計14種類あります。
この中には、ほとんど知られていないものや、該当者が多いはずなのに使われていないようなものもあります。
1.基礎控除
確定申告をする人は誰でも受けられます。控除額は38万円です。
2.配偶者控除
収入が103万円以下の配偶者がいる人が受けられます。
一般:38万円
70歳以上:48万円
特別障害者の方は73万円
70歳以上で特別障害者の方は83万円
3.配偶者特別控除
配偶者の収入が103万円以上あることで配偶者控除を受けられなくても、141万円未満であれば受けれるもの。
配偶者の収入に応じて3~38万円と段階的になっています。
4.扶養控除
扶養している家族(6親等以内の血族か3親等以内の姻族)がいる方が受けられます。
扶養親族1人あたり38万円
19歳以上23歳未満の扶養親族は63万円
70歳以上の扶養親族は48万円
70歳以上の同居老親等は58万円
なお、子供手当等が導入されたことにより、以前認められていた0歳から15歳の扶養控除や16歳から18歳までの特定扶養控除は廃止されています。
5.雑損控除
災害、盗難などにより、生活上の資産に被害があった場合に受けられます。
控除額は、①(被害額-所得金額の1/10)、②(災害関連支出-5万円)のうち、多いほうの金額です。
盗難などの場合は必然的に①で計算しますし、自然災害などであれば①②のうちどちらか多いほうの金額になります。
ちなみに、自然災害などにより、生活に必要とされる住宅、衣類、家具などが損壊した場合に、元に戻すための費用(原状回復費用)は雑損控除の対象となります。
また、損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降3年間の繰越控除が認められています。
更に、シロアリ退治や豪雪地方の雪下ろしの費用も対象となります。
但し、詐欺や紛失による被害は対象外です。
昨今、オレオレ詐欺やインターネットによる通販詐欺が横行していますが、これは該当しない、ということになります。
6.医療費控除
1年間に支払った医療費の実質負担分が、10万円以上か所得金額の5%以上になった人が受けられます。
控除額は、(医療費-補填される保険等)-10万円 or 所得金額の5% です。
7.社会保険料控除
健康保険、年金などの社会保険料を1年間支払った方は全額を控除できます。
これは、自分の社会保険だけでなく、家族の分であっても保険料を払っている人は合算して控除を受けることができます。
たとえば、フリーターをしている子供の国民年金を肩代わりしたり、年金暮らしの両親の社会保険料を支払っている場合には、この分の社会保険料控除は自分が受けることができるのです。
社会保険料は過去の一定の未納分について、後日払うこともできますが、この分も払った年に控除できたりします。
8.小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や、確定拠出年金(個人型)等の各種共済に加入している場合には、その掛金が控除できます。
9.生命保険料控除
生命保険や個人年金保険、介護医療保険に加入している場合には、一定の金額を控除できます。
10.地震保険料控除
地震、噴火、津波を原因とする火災、損壊などによる損害を補う保険に加入している方が受けられます。
控除額は、5万円を限度に支払額の全額です。
ちなみに、地震保険料控除の対象となる保険は、生活用動産を対象としていますので、事業用の資産などは対象外となります。
中には、該当しない保険もあり得るので、不明な方は、地震保険料控除の対象となるか、保険会社に確認しておきましょう。
11.寄附金控除
国や地方公共団体、認定NPO法人、学校などに寄附した場合に受けることができます。
控除できる金額は、(寄附金額-2,000円)です。
但し、控除できる寄附は所得の40%までという制限があります。
ふるさと納税の場合もこれに該当します。
12.障害者控除
本人や扶養している家族が障害者の場合に受けられます。
控除額は障害者が27万円、特別障害者が40万円です。
13.寡婦(寡夫)控除
夫と死別、離婚した女性(又は男性)が受けられます。
所得制限の有無や扶養親族の有無など、男女で適用要件は異なります。
女性の場合、控除額は27万円で、扶養している親族がいる&所得500万円以下であれば35万円です。
男性の場合、扶養している親族がいる&所得500万円以下であれば27万円です。
パートナーに先立たれた高齢者の方や特に男性の方は適用漏れが少なくないようです。
14.勤労学生控除
中学、高校、大学もしくは指定された専門学校に通う、勤労している学生が受けられます。
控除額は27万円ですが、受け取っている給与が年間130万円以下という制限があります。
まとめ
所得控除を増やすことで、しっかりと節税することができます。
みすみず節税の機会を逃している人は意外と多いですので、この時期に是非チェックしてみてください。